「ある殺し屋」

jyougen22005-11-03

悪女、フーテン

1967年作品 監督…森一生 出演…野川由美子

というわけで悪女ファンの皆様お待たせしました。しかもロッサナ・ポデスタみたいなゴージャスな悪女ではなく、極めて日本的な悪女。畳の似合う悪女の登場であります。しかしいきなり申し訳ないが正直それほど悪女には興味が無いので、あまり熱の入った文章は書けないかもしれないが勘弁していただきたい。
ある殺し屋 [DVD]
森一生監督の代表作、恐らくジャン=ピエール・メルヴィル作品を意識したと思われるハードボイルド(日本で公開されたのはこの映画より後らしいが、市川雷蔵演じる殺し屋のキャラクターは「サムライ」のアラン・ドロンそっくり)。
普段は目立たない居酒屋の板前でありながら、実は凄腕の殺し屋・塩沢。その塩沢のもとに転がり込んできて彼を手玉に取ろうとする悪女が野川由美子。「ルパン三世」でいうところの不二子ですね。で、これが外国映画なら素裸に毛皮で長い煙管を吹かして…みたいな役柄になるんでしょうが、そこはそれ日本映画なので、「あたい子供の頃親に捨てられて、それ以来男に騙され続けてこんな女になっちまったよ」というフーテン娘になる。ま、悪女の語る身の上話なんで本当かどうか分かりませんが。とにかくそんな女がやらなくていい事を次から次に仕出かして話をひっかき回すという、まあ、これがブスだったら今すぐ映画館の席を立ちたくなるようなアレですが、そこは大丈夫、野川由美子は極上の美人なので。
と言うかこの話、野川由美子じゃなきゃ成立しないような。金も甲斐性もある雷蔵を裏切って、どう見ても一生ナンバー2みたいな(失礼。役者としては大好きですよ)成田三樹夫と手を組む理由が分からない。悪女だから、なのか。とにかく裏切ってみたかったのか。女とは不思議な生き物である。そんな、まとめで良いだろうか。
他に出演している女優としては、野川由美子に追い出される田舎っぽい娘役で小林幸子。それはまあ置いといて、暗殺する相手の愛人役・渚まゆみは一瞬しか出てこないけどものすごい美人なので注目でしょう。