「ふたり」

姉妹、幽霊、演劇部

1991年作品 監督…大林宣彦 主演…石田ひかり、中島朋子

ふたり デラックス版 [DVD]
では、終わりはと言えば、それがこの映画、大林宣彦の「ふたり」と思われる。「萌え日本映画」というジャンルは、既に終わっているというのが私の考え。そもそも…。大林宣彦が「ふたり」に続いて発表した作品「青春デンデケデケデケ」を劇場で見た時、傑作だけど何か今までと違うなと感じた。何かが終わったような。
その頃はまだ「萌え」という言葉を知らなかったので、何が失われたのか分からなかったけれど。そこから逆算して、日本映画には「萌え」としか名づけられない一つの流れがあったんじゃないかと考えついた。
はてな」「Wikipedia」等によれば、「萌え」の用語が登場し始めたのが、1990年頃。この「ふたり」は1991年作品。萌えの歴史については、アニメ周辺から語り起こされて既にいろいろな説が書かれているが、それら以前に日本映画にある種の流れがあり、それが終焉するとともにアニメの方に流れ込み、そこで始めて「萌え」という言葉(概念)が生まれたという説はどうだろう(逆にアニメの勃興により、映画の方の流れが終焉したとも考えられるが)。
映画の内容はその最後をかざるにふさわしく、「萌え日本映画」のエッセンスを凝縮させた大傑作。この映画が苦手、もしくは駄目という人は多分、「萌え日本映画」というジャンルそのものが駄目だと思う。