「初めての愛」

ミニスカート、70年代ファッション

1972年作品 監督…森谷司郎 主演…島田陽子

最近ケーブルテレビでその作品をまとめて見る機会があって、今まで「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「放課後」しか知らなかった森谷司郎の評価が私の中で大いに上がった。何しろ出てくる女の子の趣味がいい。それからスタイルが面白い。「赤頭巾ちゃん」や「放課後」では何となく見過ごしていたが、こうやって見ると、明らかにアメリカンニューシネマの影響を受けてることが分かる。(68年の「首」の頃はまだ黒澤明直系のオーソドックスな演出)主人公達が海辺で楽しく遊んでいると、突然チンピラにからまれてボロボロに殴られるなんていう「いちご白書」そのままの場面も。また映画音楽の代わりにボーカル入りのポップスを流すというニューシネマのスタイルも踏襲しており、それもちょっと新鮮なのだが、惜しむらくはそれが小椋桂…。いや、小椋桂もいいんですが…。ええと、話の筋はほぼ「卒業」(ダスティン・ホフマンの)。年上の女に加賀まりこ。主人公と知り合う純真な娘が島田陽子。この島田陽子がとにかくかわいい。当時まだ十代なのかな。清楚で内気な女の子の役。この内気な女の子が最後に大人の女の顔で冷たくセリフを吐き捨てる場面があってそこがまたいいんだが、今考えるとそっちが地なんだな。彼女の着る70年代ファッションも見物。(って、今もそうだけど日本映画の中のファッションが、当時の世間における実際のファッションをどれだけ反映してるのかってのはちょっと疑問だが…)
森谷司郎は「萌え日本映画」のマエストロの一人に数えていい鬼才だと思うのだが、残念ながら後年は超大作の方にいってしまったので、世間的にはそっちのイメージが強いかもしれない。大味な大作を作る人、みたいな。この頃の作品がまとめてDVD化されれば森谷司郎の評価も大きく変わると思うのだが。あ、あとこの映画、栗田ひろみもワンシーンだけ出てます。水着で。